ドイツ1部、ブンデスリーガ女子のボルシア・メンヘングラードバッハに所属する児玉桂子選手にお話を聞きました。
先日の続きで、後編です。
以下、どうぞ御一読ください。
ー 日本のリーグと比べて、どう違いを感じますか?
比べることは難しいですね。
フィジカルは強いですし、タイミングも日本とは違います。
でも、単純な技術は、日本の方が上に感じます。
なぜ比べられないかと言うと、やるサッカーが全く違うからです。
日本は組織で崩すことを優先しますが、ドイツは結果良ければ全て良しのところがあるので、個人の力はもっと磨いていかないといけないですし、まず第一にまた怪我をしない為にもしっかりトレーニングを積みたいと思っています。
ー ドイツでサッカーをやる上で一番苦労していることはなんですか?
自己主張です。
あまり得意ではないのですが…
他の選手のミスを言わないと私のミスにされることがあったので、違うものは違うと言うようにしなければいけないと思います。
自己主張がすごく強いので、聞くだけではダメだなと感じます。
まだまだですが、語学力はとても欠かせないものだと思います。
日本とは全く違うなと思うのは、日本だったらミーティングは監督の考えや意見を聞く場として用いることが多いと思いますが、
ドイツで感じたのは、ミーティングでも監督に対してガンガン意見を言いますし、意見を問われることが多いです。
みんなのカバーリングのおかげでなんとか乗り切っています笑
ー 生活は楽しいですか?また具体的にドイツはどのようなところだと思いますか?日本と比較してみてください。
楽しいです!
サッカーが溢れていて土日はどこでもサッカーの試合がやっていますよ。
身近にサッカーがあります!
生活面では野菜や果物は安いので外食をしなければ安く抑えることもできますし、パンも美味しくて、私の住んでいる町の気候は故郷の仙台に似ていて生活しやすいです。
食事は合わないものはあまりないです!
でも日本食がやっぱり1番です!笑
ー ドイツ語は通じていますか?どのように勉強していますか?
まだまだです。
いろんな方に支えてもらったり、ドイツ語を教えてもらったりしています。
少し前ですが、治療のための病院に1人で頑張って行くようにしていました。
チームドクターなので優しく接してくれて、安心でした。
1対1で話す時に頑張って話そうとする外国人(私)に耳を傾けてくれるので助かっています。
しかし、日本だと診察ではお医者さんが親身になってゆっくり説明してくれたり、質問してくれたりしますが、ドイツの診察時間は本当に短いです。笑
パッパッパっと数分で終わります。
なのでここでも自己主張が必要で、早く言いたいことを言わないと診察が終わってしまうので、伝えたいことを前もって2.3個考えて、ドクターが来たらすぐ伝えています!笑
毎回ドキドキでした…(汗
リハビリでもトレーナーに痛い動作を伝えたり質問したり、早くサッカーしたいと言って困らせています!
わかってるよとなだめてもらっていますね。笑
施設には受付のお姉さんや他のトレーナーの皆さんに名前を覚えてもらえました。
怪我の功名というものでしょうか。笑
選手以外の一般のお客さんもいるので、髪切ったねと言ってもらったり、名前を当て字で漢字にしてあげて喜んでもらったりしていました。
怪我をする前は、学校に行っていたのですが、リハビリの時間と重なってしまうこともあってなかなか行けていません。
少し前ですが、チームメートとご飯やマーケットに行きました!
このような感じで生きるドイツ語を学んでいます!笑
その日に伝えたいことを考えて覚えて、知らない言葉を言われたら、後から調べたり教えてもらったりすることが多いのでまだまだ勉強しないといけません。
しかし、分からなくても行ってみたら何か発見があったり、新しい人に会えたりします。
そこは海外ならではの面白さかなと思います。
ー 今後の目標、さらにはその先の夢を教えてください。
先日、今シーズンの最後の試合を終えました。
チームのために力を出せたらその先に何か見えるのではないかと思って取り組んでいました。
今後考えていることとしては、
“ 地域密着 × スポーツ(女子サッカー) ” です。
今のような経験や発見を活かして、いずれは東日本大震災の時に何もできなかった故郷への活動と女子サッカーを選手としてだけでなく、選手をしながら地域への活動にもフォーカスできたらいいなと思っています。
話は遡りますが、高校卒業後の進路を決める時に私が大事にしたことは大学に行くことです。
何をしたいという明確なものはなかったのですが、将来を考えた時に大学で勉強したいと考えていました。
なぜなら、サッカーだけ生きて行くことはできないと思ったからです。
今はプロ選手が増えて来ていますがほんの一握りです。
スポーツによって給料や人気度が違うのは当たり前です。
女子サッカーを知ったきっかけが2011年の女子ワールドカップの方は多いと思います。
その人気が文化になったかというとそうではない思っていて、それは観客動員数という数字で明らかになっています。
女子サッカーの魅力を多くの人に知ってもらいたいなと思っています。
きっかけはなんでもいいですし、1人でも多くの人が見たいと思ってもらえるようなきっかけ作りに関わって見たいなと考えています。
私が所属しているチームの男子(現在ブンデスリーガ2位)はすごく強豪でスタジアムから全てにおいてすごいのですが、女子だけのグランド・施設もあります。
日本で男子と女子を持つクラブは、共有して使用することがほとんどなので驚きました。
サッカーが文化になっているドイツのようになるために、どうするべきか、特に女子サッカーが根付くためには…… 勉強することやしなければいけないことがたくさんあります。
例えば、川崎フロンターレの地域へのアプローチ、栃木FCのえとみほさんやアルビレックス新潟の是永さんの取り組みに興味があって、勝手にTwitterをフォローしています。
最近でいうと日テレベレーザの籾木選手が魅力的な活動(5000人満員プロジェクト)をしていましたね。
あれだけサッカーが上手で日本代表の選手が思ったことを行動に表して4633人のお客さん、サポーターを集めたのは単純に本当にすごいなと思いました。
これを機にスポーツ×地域密着をしている方と繋がれたら嬉しいです!!!
ー 好きな言葉(座右の銘)と、自分がいつも心掛けていることを教えてください。
・為せば成る 為さねば成らぬ何事も 為さぬは人の情けなりけり
・努力は夢中には勝てない
何事にも意味があるし、全て自分のためだと思っています!
日本でならありえないことがここではあり得るので
どんな時もこんなこともあるのかーという感じで受け止めています!
ー 最後に、これから海外に飛び立とうとする若者にアドバイスをください。
勇気を出して行けば、知ることもたくさんありますし、知らないことを知ることは人として成長できると思います。
知らないことを楽しんでください!!!
最後になりますが、このような機会をいただきありがとうございました。
ー 児玉選手の益々のご活躍を期待しています。
TWINKLES 事務局